結論:迷うくらいならバンタムにしときなはれ。(終)
ベイトタックルを使ったシーバス釣りにお金も時間もすごい掛けたよ…。
今ベイトタックルを使ったスズキ釣りが静かな盛り上がりを見せています。自分もこの釣りにはまり込んでからかれこれ4年程。たくさん買っては失敗もしてきたので、この記事にたどり着いた人で悩んでいる方の参考になれば幸いです。(需要はたぶんない)
今回はジャイアントベイトとか超軽量ルアーなどの◯◯特化は一旦横において、シーバスで使われる10g前後のルアーから、100gくらいまでのルアーを使う一番汎用的なゾーンのリールです。
そもそもなんでベイトを使うの?
これは前置きとして言っておきたいのですが、私は何が何でもベイトでやるのだーって思ってません。普通にスピニングも使いますし、年間でベイト6:スピニング4くらいの比率です。
軽量ルアー、重心移動が入ったミノーなどはスピニングのほうが扱いやすいですし、中層以下〜ボトムまでのバイブレーションゲームなどはPEを前提としたスズキ釣りでは、細糸が扱えるスピニングじゃないと釣りにならなくない?と思います。
ベイトを使う意味
1. 太糸でトラブルが少ないこと
極言すればこれにつきます。太いメインライン、太くて長ーいリーダーを入れたとしてもスピニングと比較してトラブルが少なく扱えます。オフショアやショアジギなどでPE4号以上でスピニングで釣りをしたことがある人がいたらわかると思いますが、タックルがいきなりゴツくなります。ただ、シーバスをマグロタックルとかで釣ったことある人いたらわかると思うんですが、全然おもしろくないですよ(え、いない?w)
シーバスのナイトで釣りする場合は特にです。スローリトリーブでゆるくスプールに巻き取ることになり、余計トラブルに繋がります。(バチ抜けのときによくあるエアノットとかそういうやつ)
2. 飛ばないルアーも比較的飛ぶ
所謂ビッグベイトなど、質量の割には空気抵抗があるルアーはスピニングでは飛びません。空中でくるくる回るルアー(BlueBlueのスネコンとか)やバルサミノー(ラパラCDシリーズ)などはベイトのほうが飛距離も出るし精度も高いです。
これは、スプールからフリーで糸が出ていくスピニングに対して、ルアーの質量と、竿の反発でスプールを回転させて糸を引っ張り出すベイトリールの方が飛行姿勢を安定させやすいんですかね。
3. 定速巻きがしやすい
スピニングリールは、だいたいシングルハンドルがついていて、ハンドルの自重でローターを回す性質上、重力に引っ張られる下回転と重力に逆らう上回転では指先に掛ける力を調整する必要があります。ベイトリールの場合は、メインギアをハンドルで回した力をスプール回転に連動させるために、トルクある巻きができるようになります。(個人的にはラインスラックの調整はベイトリールの方が良い感じ)
あとは、「かっこいい」とか「練習した分だけどんどん飛距離が伸びていく楽しさ」とか、まったく実釣面には影響ない部分も大事ですよね。遊びですから。
ベイトリール選びで考慮しておくポイント
- スプール径
- 糸巻き量(16lbで100m巻けるなら3号PEで100m前後巻けます)
- ギア比
- ブレーキシステム
優先度順に並べてみました。ブレーキシステムは正直好みの範囲かなと。ダイワのマグネットブレーキ(マグフォース系)とシマノの遠心ブレーキ(SVS系)では根本的にブレーキが掛かる仕組みが違うので、フィーリングが別物です。DCやSVなんかもいいですよね。飛距離が出る仕組みではないので、飛距離を出したい人がDCを間違っても選ばないように。
ギア比もやり込んでいけば好みの問題。信頼できる巻き感が維持できるギア比で良いのではないかと思います。
重要だと考えているのは、「実釣面で使いたいラインが100m近く巻けること」、「メインとなる重量に対してスプール径が適していること」この2点です。
これまでどんなリールを使ってきた?
- クロナークMGL
- タトゥーラ
- タトゥーラSV
- スティーズA TW
- ジリオンSV TW
- エクスセンスDC
- アンタレスDCMD
- カルカッタコンクエスト200
- クラドK 200
- カルカッタコンクエストDC100
- グラップラー300
- バンタムMGL
(ギア比や購入した台数は割愛しています)「シーバス✕PE」のカテゴリでいっぱい買ってきたなぁ…。という感じです。タックルはFishmanとTULALAをメインに使ってきました。なんなんでしょうね。「もっといいのがあるはず」って言いながら青い鳥を追い求めちゃう現象。毎回タックルが変わるタイプの人って、会うたびにタバコの銘柄が変わってたりするのと同じでモテなさそうって思っちゃう。
これらを踏まえて、バンタムMGLについて語らせてください。よく言われてるデメリット面についても合わせて考えてみました。
ベイトシーバス的目線でみたバンタムMGLの特徴
バンタムの製品的な特徴はシマノ公式URLを貼っておきます。バンタムMGL製品情報
個人的にソルト利用のベイトリールとして秀でているなという点を5点ほど。
- フルアルミボディ(マグネシウム合金と比べて錆びにくい、腐食しにくい)
- あえての深溝スプール(PEユーザーだからスプール重量あまり気にならない)
- マイクロモジュールが真鍮(ブラス)で溝も浅すぎない
- バラしやすくメンテナンスしやすい
- 品質の割に安価で、中古で状態良いものが多い
フルアルミボディ
バンタムMGLは剛性感の塊みたいなリールです。自分のバンタムはパーツを交換しながらも3年ほど使用してきました。年間のバンタムMGLでの釣行回数としては、100日程度。3年で300日くらいはビッグベイトをぶん投げて、海水に晒されまくっています。
一方、ハイエンドリールに採用されがちなのがマグネシウム(おそらく合金?)です。海水使用で考えた際に、一番の大敵は「腐食」です。マグネシウムボディが腐食したときはこんな感じになります。
金属が腐食する仕組みとアルミボディ
参考までに、金属が腐食(サビも含む)とは、「金属がそれを取り囲む環境の物質と化学的あるいは電気化学的に反応して、表面から消耗したり金属以外の物質に変わることで金属が失われていく現象」を言います。イオン化というやつでしょうか。
金属のイオン化傾向(列)を高い順に並べるとこんな感じ。(Mgがマグネシウムで、AIがアルミ)
(高) K>Ca>Na>Mg>Al>Mn>Zn>Cr>Fe>Cd>Co>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Au (低)
https://www.dnt.co.jp/technology/technique/pdf/giho20-35.pdf
アルミは錆びやすいとも言えるわけですが、アルミは酸素と非常に結び付きやすい性質を持っていて、アルミの表面には自然に、非常に緻密な構造をした保護力の強い酸化皮膜が形成され、腐食しにくい素材です。表面に傷がつけばそこから腐食していくとも言えるので、メンテフリーというわけではありません。
マグネシウムが他金属と比較して比重が軽く(1.7)、アルミ(2.7)と比較しても軽く、強度と加工のしやすさからハイエンドリールに用いられています。上の画像とここまでで誤解があるといけないので補足すると、あらゆる点で非常に高性能な金属であるため、弱点であるマグネシウムの腐食のしやすさに対して保護を行うための表面加工は日進月歩で進んでいます。21アンタレスDCもフルマグネシウムボディでありながらも、表面塗装を詰めていって海水OKをメーカーも謳っています。
(本題に戻ります)
ベイトシーバスは海水でウェーディングや河川のドロが多い場所にリールが晒されるため、金属特性的にある程度の耐腐食性能がほしいところ。車から随分歩いて真っ暗の中でリールから異音がしたらやってらんないっすよね…。
あえての深溝スプール
ブラックバスで使われる人たちにはとにかく不評な深溝スプールw
「16lbを100mとか巻きます??」「スプールが重くなって鈍感じゃないっすか」というレビューです。
わかります。でも、PEが基本であり、シーバス釣りにおいてのルアーの適正ウェイトって12g〜くらいですよね。もうそれ以下メインならスピニング使って(切実に)
これからベイトシーバスでビッグベイトやってみようという方はプロのタックル紹介とか見て1.5号とかベイトリールに巻いちゃだめですよ。高切れ高切れ高切れ地獄でメンタル破壊されるのでw
まずは最低3号からです。
まずは「3号が100mちゃんと巻けること」不安な人は4号が80mくらいでもぜんぜん良いです。ライントラブルがあったときに切ったとしてもある程度使えることを原則としたい。
マイクロモジュールギアが真鍮
バンタムに限らず、ブラスギアがシマノのトレンドなんでしょうね。超々ジュラルミンのマイクロモジュールのメリットとしては「軽い・感度がある」でしたが、リール全体の軽さがどんどん向上していて、感度自体もフルメタルボディやPE用途の時点で感度よりもグリス乾きしにくいとか、耐久性が高い真鍮ギアを使いたいところです。
http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/pdf/spec_bassbait_reel_2019.pdf
また同じマイクロモジュールギアでも、バンタムの溝はカルコンと比較してもやや深めの溝です。溝が浅いとシルキーな巻心地になっていきますが、強度面で言えば深めの溝です。グリス切れもしにくい印象です。50g以上のルアーを巻くわけですから、ギアへの負荷が大きいです。
バラしやすく、メンテしやすい
カルカッタコンクエストが至高であることは疑いもない事実ですが、パーツ数の多さや、組み上げ精度の高さから、ちょっとメンテナンスしようとしたときの心理的ハードルが高すぎます。
パーツが少なくて、メンテナンスを初めてやってみようという人にとってはとてもいい練習機なんじゃないでしょうか。
社外品も多くてカスタムのベース機としても面白いんじゃないかなと思います。
品質の割には安い、中古品も出回りやすい
これはおまけみたいなメリットです)実売だと25,000円程度ですからね。いきなりハイエンドリール行くよりもラインやフックにお金かけましょう。どうせビッグベイトも高いですしw
中古でもそれなりの品質のリールが出回っていますので、パーツ取りやセカンド機、ギア比別になんて遊び方もできるので良いのではないでしょうか。
なぜ1台目のベイトシーバスにバンタムMGLを推すのか?
私が考えるベイトシーバスで一番汎用的なスペック
- 150番スプールでPE3号が100m巻けること
- ギア比がXGまでラインアップされていること
- ボディはフルメタルでアルミであること
このスペックで探してみて?ほとんど市場にないからw そして、一番使うリールがハイエンドだとメンテナンスコストだけでもエグいことになります。急にカルコンやアンタレスDCMDを勧める風潮ほんとやめたほうが良いなって思います。
浅溝スプールや社外品スプールで楽しめるよ
ボートシーバスとか、ちょっと軽めのルアーをレスポンスよくキャストしたいよって言う場合は、夢屋から浅溝スプールがでていたり、Availのマグネットチューン用のパーツが出ているのでボディがあればいろんな使い方ができます。
ちなみに、スティーズA TWもめちゃ良かったですよ。アルミボディでダイワ派はこれでもいいかもです。(最近だと21ジリオンSVかな)ただ価格感がちょいと高いのと、マグシールドはメーカー交換しかできないため、入門用というにはちょっと微妙かなと思いました。
ウィークポイントと対策ポイント
問題①:ウィンウィン感(俗に言われるバンタム=ウィンタム)問題
フルアルミのコアソリッドボディで、気密性高いダイアルケース(ブレーキをねじ込む仕様ね)なので、ギアの異音を増大してダイレクトに巻き手に伝えてしまいます。仲間内では「ウィンタム問題」と呼んでいますw
解決策②:ちゃんとメンテナンスをする(良いグリスで)
ギアにグリスが適正に塗布されている状態は「ギアの全部の溝にグリスが不足なく行き渡っていること」です。プラモデル用や板金用の筆を使って、グリスをマイクロモジュールギアの溝にちゃんといきわたるように塗りつけてください。
ややマニアックなポイントですが、粘度よりも粘性が高いグリスを塗布しておくと初期性能が維持されやすいかなと思います。これはバンタムに限らずです。初期性能の維持+αは使用者次第です。
むしろ、バンタムは「グリス切れやギアの不調を知らせてくれるんだ」って思うようにしていますw
(メンテンナンスについて書くと長くなるので別途書いてみます)
問題②:ビッグベイトに使う際のハンドル長とハンドルノブの小ささ
ビッグベイトを使用する前提でダウンストリームに流れていった際にかかる手の圧はすごいものがあります。ほとんどの人はびっくりしちゃって、ここで心折れますw 絶対に思います「ぜんぜん力はいんねー」って。
解決策②:ハンドル長を伸ばして、ハンドルノブがでかいものにする
XGの場合は90mmハンドルがついていますが、95mmくらいのハンドルでパワーギア化したほうがルアーアクションもラインスラックの調整もやりやすいかと思います。ただここは好き好きです。
特に重要なのは、ハンドルノブです。純正ノブは汎用的ではあるものの、ノブをつまむにしても握り込むにしても大きくグリップしたほうが使いやすいです。
自分はバリアルハンドルの95mmを使っていますが、夢屋からも社外品も色々出ていますので好きなものを選んでください。
まとめ
色々道具に悩むなら、バンタムMGLで良いよって3年使い込んでみて思えるリールだったので、もし悩んでいる方がいたら使ってみてください!
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